七 食品又は添加物を取り扱う者の衛生管理


別表第十七(第六十六条の二第一項関係)を基にまとめる、衛生管理計画書(例)


ーー解説ーー

 イ 労働安全衛生法では年1回(夜間労働がある場合は半年に1回) の実施が規定されています。

 

ロ 検便は法的に定期的に実施することを求められていませんが、取引先からの要求事項になっている場合が多いうようです。検便を実施する場合、陽性者が出た時の対応についても文書で決めておきましょう。通常の対応ルールとしては、次のような内容です。

①陽性者は医師の診察を受け、再検査で陰性を確認するまで、出社を停止する。

②共用部分のドアの取っ手やテーブルなどをアルコール消毒する。

③陽性者が携わった製品の微生物検査を実施する。

④サルモネラ以外、腸管出血性大腸菌や腸チフスのような三類感染症指定の細菌の場合は、保健所へ届出る。

 

ハ 食中毒・感染症予防のため、出社できない症状を決め、周知徹底し、出勤時に申告してもらい、記録を残しましょう。仕事中に症状が始まった場合も、すぐに作業場を出て医師の診察を受ける事が大切です。

 従業者から食品への汚染を防ぐために、食品を扱う際の適切な保護具の着用が有効です。素手や汚染した作業服で食品を扱い、二次汚染で被害を出さないよう、適切な対策を決めて実施しましょう

 

ニ 皮膚の外傷部分から食中毒菌である黄色ブドウ球菌汚染を受ける場合があるため、対象者を食品取扱に従事させる場合は、ニトリルラテックスなどの遮断性の高い手袋を着用させ、場内で外さないルールにすることが必要になります。

 作業場内で嘔吐が発生した場合の、食品と嘔吐物の処置については、嘔吐がノロウイルスによるものである可能性を考えて、出荷可否の判定や吐物の処理方法など、厚生労働省や保健所が出しているマニュアルを参照して自社のルールを決めましょう。

 

ホ 従業者からの異物混入を防止するため、作業時の清潔な身だしなみについて、ルールを決めて実施しましょう。

 戸外は汚染区エリアであるため、履物の区分が必要です。また、作業服での通勤や外出は禁止とすることが求められます。

 

へ 異物混入や食品汚染を防ぐため、全ての私物の作業場内持ち込み禁止が原則です。結婚指輪や時計を含め、装飾品の持ち込み禁止をルール化して確認・徹底しましょう。

 

ト 手からの交差汚染防止のため、食品に直接触れる場合は、衛生手袋を着用することが推奨されます。適切な衛生手袋の殺菌方法も決めておきましょう。

 

チ 手洗い方法はマニュアルを決め、手洗い時に見やすい場所に掲示するようにしましょう。爪が伸びていると不衛生なばかりか衛生手袋が破れやすくなります。爪を短く切ることやマニキュアの禁止など、衛生的な管理ルールを作りましょう。

 

リ 手を介した食中毒菌の二次汚染防止のため、作業の内容によって、手洗いや、手袋・エプロン、保護具の交換や消毒などのタイミングをルール化しましょう。

 

ヌ 作業中の不衛生な行為の禁止について、ルールを作って教育しましょう。コロナウイルス感染防止のため、マスクをしていても食品上でのくしゃみや咳、おしゃべりは慎む事が必要です。

 

ル 着替えや喫煙については、場所を決め、作業服の汚染などによる食品への二次汚染防止の対策をルール化しましょう。

 飲食については、夏場の水分補給や、官能検査など、必要な場合の摂取方法について、これによる食品への病原菌やアレルゲンのコンタミを防止するためのルールを作りましょう。

 

ヲ 外部者が作業室内に入場する際は、作業者と同じルールを適用するよう確認する事が必要です。体調確認や私物の持ち込み禁止などの対応方法を決め、実施記録を残しましょう。

 

💡ポイント 

  従業員が守るべきルールを決めただけではなく、その実施を確認し、繰り返し教育することが重要です。

 健康管理については、コロナウイルス感染症が猛威を振るっている近年、特に重要な項目になっています。

 感染症を会社内に持ち込まない対策と、会社の中で感染が広がらない対策を決め、ルール化しましょう。

 私物のバックやポーチを作業室に持って入ることは、不衛生で危険な行為です。色々な理由があるにせよ、作業場内では会社が決めたものを数量や置き場を管理して使用するようにしましょう。