四 使用水等の管理                                   五 ねずみ及び昆虫対策


別表第十七(第六十六条の二第一項関係)を基にまとめる、衛生管理計画書(例)


ーー解説ーー

4 使用水等の管理

 施設で使用する水について、自治体が供給する水道水を貯水タンクを使用せず、全ての用途に使用している場合は、水質に関して特に管理する必要はありません。それでも、以前超大御手の乳業メーカーの監査を受けた際、地方自治体の水質検査の結果を確認するように言われました。ホームページに発表されていると思いますので、それをコピーしておくと完璧です。

 湧水や地下水を使用する場合は、各自治体により必要な条件が異なりますので、保健所に確認して求められる方法で管理します。

 貯水槽を使用する場合は、年1回の清掃と水質検査が必要です。特に決められてはいませんが、信用できる取引先を選択するという意味で、自治体の登録を受けた業者を選択すると良いと思います。また、貯水槽内や場内配管の衛生状況確認のために、残留塩素濃度の確認や、目視や味覚による官能検査を実施したり、定期的に微生物検査を実施することも考えられます。

 これらの実施内容をまとめた、用水に関する管理規定を作っておきましょう。

 

 食品製造に使用する水については、平成26年に「飲用適の水」を「食品製造用水」と置き換えた際、「食品製造用水」とは「水道水と水道水以外の水」と定義されていたと思います。今回の法令では水道法に規定された水道水以外の水を、「飲用に適する水」といっているようです。衛生管理的にはこちらのほうがわかりやすいと思います。

 水については、本当に自治体・地域により取り扱いに差があります。必要な殺菌方法や検査等は保健所の指示に従いましょう。

 

 食品に氷を直接使用する場合は、製氷機内部の清掃頻度や方法、氷の取扱時に交差汚染を防ぐ方法を取り決めておきましょう。特に外部監査では、製氷機から氷を取り出したり、氷を運搬したりする容器からの汚染が注目されます。

 専用の器具を汚染を受けない形で保管する方法がポイントになります。

 

💡ポイント

 井戸水や、地下貯水槽の汚染により、過去に深刻な食中毒事故が発生しています。

 また、野外に貯水槽がある場合、蓋の破損や不十分な施錠により、ゴミや動物の死骸などが入り、不衛生な状態になっていることもあります。老朽化した施設では貯水槽や配管の破損による汚染も考えられますので、定期的な微生物検査での確認は、簡単に行える確認方法であると言えます。

 

5 ねずみ及び昆虫対策

 イ 、施設及び周囲の衛生を確認する方法としては、定期的な清掃や除草・不要物の処理などを行い、チェックリストで実施記録を残す事が一般的です。施設への侵入防止対策としては、窓・ドアの開放厳禁や、外部につながる設備の侵入防止対策が考えられます。

 

ロ 、年2回以上の駆除作業については、それぞれの施設によって必要性が異なります。業者委託のチェックやモニタリング調査結果をもとに、必要に応じた実施を計画しましょう

 

ハ、基本的に推奨されるのは、建築物ねずみ昆虫等防除業登録業者と委託契約し、定期的にモニタリングや施設の点検を実施してもらうことです。

 結果により駆除作業が必要な時は、薬剤は業者管理として防除作業を実施してもらうと、安全データシートの保管や、実施時の注意事項の遵守を証明することですみます。

 薬剤を自主管理する場合は、薬剤の適切な保管や出納管理、使用履歴や食品を汚染しないような対策の実施などを決めて行う必要があります。

 

💡ポイント

 工場や厨房の監査の際、食品を取り扱う場所にゴキブリ用のエアゾルなどを置いたままにしているところがあります。この場合、これが食品を汚染しない使われ方をしているか、現場で証明することは困難です。管理するなら事務所などで数量管理し、使う場合は使用マニュアルを作って使用場所や使用量を明確にし、記録を残すようにしましょう。

 防虫・防その問題については、業者任せにしているだけでは、改善に至らない場合がほとんどです。汚れた上に薬剤をかけても効果は上がりません。清掃と外部に繋がる隙間の修理、作業場内の整理整頓など、自社での取り組みをルール化することも大切です