「うだるような暑さ」とは、茹でられているような暑さと言う意味です。
食品製造の現場では、室内で使用する加熱機器の多さや、熱を排出する換気能力の不足から、夏場はどこも暑さとの戦いです。
工場ではこれに加えて、外部から害虫や汚染微生物が侵入するのを防ぐため窓は閉鎖されており、給気も外気をそのままフィルター越しに使用しているところがほとんどであるため、加熱作業の室内は尋常ではない温度まで上昇します。まさに、「うだるような状態」です。
食品工場に夏期に点検に行くと、時々冷蔵室の中で涼んでいる作業者を見かけます。
私も、過去に勤めていた工場で、37℃を上回る熱暑現場で働く人には、少なくとも30分に一度は冷蔵室で体を冷やすように勧めていました。
熱中症用の飲み物を冷蔵室の中で取るようにしたり、冷蔵室が手狭な施設では、作業室から出た所に扇風機と飲み物用の冷蔵庫を準備し、体を冷やすようにしていました。もちろん、食品を汚染しないようなルールを決めて、衛生的に運用していました。
新しい工場では、発熱機器の排気や、冷気の供給が適切に計画されていて、夏場も快適な所もありますが、古い工場施設では、作業環境をすぐには改善することはできません。
工事現場などで見かけるスポットクーラーは、後ろから廃熱を出すため、屋内で使うと室内の温度をさらに上げてしまいます。
作業者の命を守る為の火急的な措置として、私が工場で実践していたのは、冷凍室で桶に氷を作っておき、氷の塊に扇風機で風を当てて冷風をつくる方法と、製氷機のクラッシュアイスを水と一緒に桶に入れておき、作業の合間に、頻繁に手袋やエプロンを氷水で冷やす方法です。
どちらも作業者の皆さんからは、「なんの効果もない」と言われましたが、夏中は続けてくれていたので、少しは役に立っていたのかもしれません。
今年の夏はとてつもない暑さになっています。
いつもは大丈夫でも、高温環境でしか育たない腐敗菌が増殖するかもしれません。
製造ラインや機器で直接食品が触れる箇所は、製造前に再洗浄やアルコールでの拭き上げを実施しましょう。
洗浄後、加熱殺菌した器具などは、高温に置くと耐熱菌が増殖する可能性があるため、冷蔵庫で保管することをお勧めします。
原材料の賞味期限は、「常温で保管」するものは30℃以下程度、「高音を避けた冷暗所で保管」するものは25℃程度で保管検査を実施し、結果に安全係数をかけて設定されています。保管場所の温度がこれを超える場合は、適切な温度帯にするための空調が可能な部屋か、冷蔵庫内で保管するようにしましょう。
暑い時期は集中力が低下します。思わぬ事故が発生しないよう、柔軟でポイントを押さえた場内ルールの運用をご検討ください。
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