一 食品衛生責任者等の選任


別表第十七(第六十六条の二第一項関係)を基にまとめる、衛生管理計画書(例)


ーー解説ーー

 今回の法改正では、食品衛生責任者が一般的衛生管理及び、HACCP構築の主体となる者として規定されています。

 「一 食品衛生責任者の選任」では、食品衛生責任者が職務を果たせる職責であるかが確認されています。

 食品衛生責任者は製造業務を管轄する職責であることが望ましいため、小規模事業者の場合、営業者(社長にあたります)もしくは工場長のような現場の責任者が食品衛生責任者になることが推奨されます。

 

ハ 食品衛生責任者がHACCPの牽引役であるため、その教育についても各自治体で実施する「安全衛生責任者実務者講習会」の受講が定められています。現在はコロナ禍の影響で実施されていないところが多いのですが、今後、営業許可書更新のタイミングで出席要請が来るようです。

 食品衛生責任者はあくまでも会社の人ですので、営業者の指示に従い衛生管理の推進に当たることになります。ここでは、社長が年1回発表する「食品安全方針」に則って、食品衛生責任者は「年間衛生管理計画」を作成し、社長の承認を得てこれを実施していくという流れになっています。実際に食品衛生管理について行った実施内容を記入していくことで、計画の進捗や問題点について社長報告するツールになります。

 計画する項目としては、施設・設備のメンテナンスや改装、定期的な特別清掃、防虫施行、衛生教育、防災訓練などが考えられます。

 全て一つのリストで管理して、それを掲示しておくと、忘れずに実施して記録を残すことができます。

 

 この項目を証明することが難しいのですが、ここではHACCPミーティング運営規定に営業者が開催する会議において、安全衛生の状況に対して発表し、提言することを規定しておく方法にしています。ミーティングが実施しづらい場合は、「巡回時の不具合や事故・異常の発生時には、社長に報告すると共に、改善計画と実施状況を随時提案し承認を得る」としておき、巡回チェック表で記録を残す方法もあります。

 

 食品衛生責任者は、一般的衛生管理やHACCPで定めたルールについて、遵守されている事を確認して必要な改善を行います。これには、日々の巡回チェックを行い、結果を記録に残すと言う方法が考えられます。

 チェック結果に基づき、従業員への再教育や、マニュアルの見直しが必要な場合は、営業者に相談して改善したことを記録に残す様にしましょう。

 

⭐️ポイント!

 実施したことは、必ず記録に残し、確認した証拠を残すこと。記録がないと、実施していないと同じことになってしまいますので注意が必要です。また、決めたことは、規定やマニュアルなどの文書にしておくことが推奨されます。