ここで作成するフローダイアグラムとは、対象となる製品の、原材料受け入れから製品出荷まで、全ての製造工程を作業順に書き出し並べたものです。
エクセルなどの表計算ソフトで作成すると簡単にできます。
難しく考えず、下のポイントに沿って作成してみましょう。
1 横軸に原材料や添加物、包材を記入する
表を作成する際は、配合量の多い主になる原材料から、配合する順に左から右に並べてましょう。
入力するセルとセルの間は、空白のセルを挟んでおいてください。
原材料が多く、全ての品目を記入すると、かなり表が大きくなってしまう場合は、保管状態や処理工程が同じものを、まとめて記載しましょう。
例えば、「冷凍煮物用野菜」、「生食用野菜」などと記載し、カッコ書きで野菜名を記載すると良いと思います。
調味料や添加物など、保存場所や使用工程が同一の物も、まとめて記載できます。
表を整理することをおすすめするのは、表があまり大きくなると見辛いことと、同じ内容の工程は同じ危害要因の繰り返しになるためです。作業をしていくうちに慣れてくると思いますので、やりやすい方法で始めてください。
2 縦軸に作業工程を記入
入荷と保管の工程は、すべての原材料や包材にあてはまります。保管は温度帯も入れておきましょう。
それ以降の工程は、 食品の取り扱いに沿って、下向きに記入していきます。
工程フローは作業手順やレシピではないため、あまり詳細に記載すると表が複雑になり、後で厄介です。
作業に対する危害を分析するための表ですので、作業する場所や、使用する設備や機器により、作業単位で分けるとわかりやすくなります。
例えば同じお鍋で行なう「加熱」「混合」などは、「加熱・混合」とまとめて記載したり、加熱用野菜の「皮むき」、「分割」、「整形」など、同じ場所で同時に行う準備工程は、使用する器具などによる危害が同一であることから、「野菜カット」でまとめる方法が考えられます。
3 工程の流れは矢印で表現
製造工程での、食品や包材の流れを、矢印でつないで表現します。
例として作成した「唐揚げ定食」では、食器の下膳や食器洗浄、保管も工程に入れています。食器の破損や汚染は、食品の品質事故につながる可能性があるからです。
この他にも、工程再生品の保管や混合などがある場合は、忘れず記入しましょう。
図がわかりやすくなるように、主な工程の流れを左側に置き、それに投入するものの流れを矢印で表現します。
4 装置や管理基準を記入
各工程で使用する装置や機器についても、出来るだけ記入するようにしましょう。装置の能力や使用方法の適性についても、食品事故に関連する情報です。
加熱温度や時間、保管温度など、決まった管理基準がある場合は、工程の横に記入しておきましょう。加熱殺菌の場合、85℃2分とか、F=4(121℃4分)などと記入することで、対象となる食品の管理方法の適性が判断できます。
5 番号を振る
作成したフローダイアグラムの、各工程に番号をふりましょう。
危害分析の際、番号順に確認していくからです。番号は発生する作業順に降っておくようにしましょう。
6 工程フロー例
定番メニューについて、工程フローを作った例です。
メニュー毎に、処理が同じ原材料毎にまとめて工程を作ってみました。
サラダや和物など、いろいろな食材を、和え衣で混ぜて作るメニューを、工程をフローにした例です。
7 抜けた作業がないか現場で確認する
作成したフローダイアグラムを印刷し、実際の作業と見比べて、抜けた工程がないか確認します。
日々作業をする中で、作業内容が変わってしまう場合があります。
食品を提供まで常温で保管したり、予備加熱後の食品を常温で長時間スタンバイするなど、食中毒菌が付着していた場合、事故につながる危険な工程がないか、実際の作業を見て確認しましょう。
抜けていた工程があればそれを加え、ナンバーを振り直して、フローダイアグラムの完成です。