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エアーシャワーについて_先日の監査より


 先日、今私がお勤めしている乾物・粉体を小分け包装している工場で、得意先様からの工場監査がありました。

 監査員は得意先が委託している、大手乳業メーカーの名前を冠したビジネスサポート会社です。担当の方は、その乳業メーカーの品質管理部門やその関連部門で勤務されたのち、定年退職後にこの仕事を始められたとのことでした。

 その時いただいた、エアーシャワーに対する指摘事項から、あらためてエアーシャワーを実際に使う側と、観念としての有効性を信じる側とで、その効果に対する感じ方にギャップがあると感じました。

 ここでは、あくまで私の主観的な考え方を述べています。このような確実なエビデンスがない物の場合仕様がないことですが、色々な考え方があると思いますので、その点はご容赦ください。

 

 指摘の内容は、エアーシャワーのノズルについて、効果のある風力学的な方向を決め、それを固定するためにマーキングして管理すべきであるというものです。

 この工場では、サニタリー室に入場する前にローラーがけをし、手洗い後エアーシャワーを通ります。その後、作業エリアへの入場前に再度ローラーがけをするというルールになっています。私が入る前からこのルールだったのですが、私はとても理にかなっていると感じていました。

 ちなみにエアーシャワーは日本スピンドル製、片吹きの2ユニット式、手開けドアでかなり旧式です。工場を始める時、倉庫だった施設を改装する際にはめ込んで設置したため、工場を壊さない限り動かすことはできません。

 

 この工場では粉体物の小分けが多く、作業中に作業服には粉が多く付着しています。作業服表面に付着した粉体はローラーである程度除去できても、作業服の繊維に入り込んだ粉体は残ってしまいます。これをエアーシャワーと手で叩くことによってある程度除き、次のローラーで浮いたものを除去するという考え方です。

 監査員の考え方は、「エアーシャワーがあるのにエアーシャワー前後に粘着ローラーは必要なのですか。エアーシャワーでの異物除去精度を上げることを考えるべきでしょう。」というものでした。

 

 私は毎日エアーシャワーの壁とノズルと床を、消毒用アルコールを薄く含ませた不織布で拭き掃除しています。壁やノズル・床には、静電気も発生するため、粉体が結構付着していますが、毛髪や大きい異物が落ちていることは本当に稀です。

 エアーシャワーのフィルターは、週一回掃除機で吸引清掃します。エアーシャワー内で衣服を叩くので、一週間もするとかなり埃が溜まっていて、この点では集塵能力があることを実感しています。

 他の監査時にも、時々壁への粘着シートの使用を勧められますが、清掃し辛くなることと、費用対効果が望めないことから実施するつもりはありません。それよりウイルス対策も兼ねて、毎日アルコールで清拭する方が理にかなっているだろうと私は思っています。

 

 エアーシャワーについては、HACCP認証が始まった当初、施設設備の絶対条件になっていました。

 当時、エアーシャワーの有名メーカーの広告では、ゴミだらけの作業者がエアーシャワーを通ると、それだけでピカピカになるような画像が使われていました。かなりナンセンスですが、これが信じられていた時代です。素人目にも、衣服に起こる静電気で付着した異物を、部分的な風力だけで飛ばすのはかなり無理があることは明白でしょう。

 現在、実際にエアーシャワーをつけている工場でも、除電ブレードをつけたり、エアーシャワー後に粘着ローラーをかけたりするのは、広く実施されています。エアーシャワーがあるから大丈夫などと考えているところがないということは、エアーシャワーがあっても、食品への毛髪や外部由来の異物の混入が発生しているということなのだろうと思います。

 

 エアーシャワーは、カビなどの微生物や密室になる庫内のウイルス対策、清掃の大変さなどから、大企業でも新工場への設置をやめる企業もあります。

 以前日本最大手の化粧品工場にお邪魔した際に、かなり大型のブースの中で長く微風を浴びるというエアーシャワーに遭遇しました。こちらの企業では、エアーシャワーは製造室外と製造室の雰囲気を分けるための装置と位置付けられているとのことでした。

 

 最初に戻ります。今回の監査では、この会社での考え方をご説明したかったのですが、かなり一方的に「私の話を聞いてください。」と言われてしまったため、指摘を受け止めてノズルをテープで固定することにしました。清掃しづらいのですが仕様がありません。