今お世話になっている、食品の小分け包装を行なっている工場での、営業許可をめぐるゴタゴタのお話です。
和菓子作りの材料として小分け包装している「桜の葉の塩漬け」で、管轄保健所と訳のわからない板挟み状態になっています。
この桜の葉の原材料は、取引業者から一斗缶入りの状態で入荷するものです。
この塩漬けにした桜の葉を、水分を絞って10枚づつ綺麗に並べ、袋に入れて真空パックした後、沸騰水浴中で30分袋殺菌して水中で急冷します。
昨年から何度か管轄保健所と協議しましたが、保健所から「漬物の製造行為に当たるので、漬物製造業の施設基準に当てはまる専用の作業場所が必要です。排水設備のある防水性の床、壁に囲まれた専用の作業室と専用のシンクと手洗い設備がないと、許可は与えられません。」
しかしながら、この作業は作業室外の器具洗浄シンクで塩漬けの液をしぼり、番中に入れて包装室に持ち込むため、液が床を汚染することはありません。そして、この小分け作業は、冬場に数回しか行わないため、フルに使用している施設内で、その時しか使わない専用の場所を設けることはとても困難なことなのです。
当社社長も、もう桜の葉の小分けは止めようかと考えていたようですが、取引先との関係もあり、再度社長が保健所と協議を行なうことになりました。社長室横のテストキッチンとして使用している場所を改装し、桜の葉専用の作業場にしようという案で、なんとか保健所と話をしようとしていたのです。
保健所と話をする上で、提出書類として必要になる原材料規格書を取得し直す必要がありました。原料の桜の葉を塩漬けしている会社でも、前年の規格書では営業許可を取得していなかったので、もう漬物製造業を取得しているだろうと思っていました。
ところが、新しい原材料規格書が来てみると、「密封包装業」の許可証が送られてきました。
先方に聞いてみると、厚生労働省の見解で桜の葉の塩漬けは採取の行為の一環とされているため、営業許可は必要ないとのことで、それをそのまま加工業者に出荷するものはもちろん許可の必要はないけれど、その会社でも小分けして真空パックしているので、密封包装業を取るようにと管轄保健所から言われたとのことでした。
もちろん、近隣の同業者も全員その対応で進んでいるそうです。
その事をこちらの保健所に伝えると、「それはこちらの見解とは関係ない。不明なら先方の保健所に問い合わせてください。」
はて、なんでよその保健所に相談する必要があるのでしょう。
昔から梅や桜の葉の塩漬けは、採取した農家が元漬けし、漬物業者に納品していました。柔らかい梅の実や、変色しやすい柔らかい桜の葉は、収穫後の変質を抑えるため、すぐに塩漬けする必要があります。農家の副業であるこの元漬けについて、漬物製造業の施設基準を押し付けることは、今の伝統的な食品を衰退させることにつながるとともに、塩漬けで水分活性が0.8以下の場合、ボツリヌスは繁殖できない環境であり、衛生的にもなんの意味もありません。
この先、管轄保健所が漬物製造業にこだわるなら、前回の密封包装業に加えて、また同等の出費が必要になります。これは小規模企業にとって重い出費となります。
前回の全く乾燥した食品を小分け包装のみの事業所に、ボツリヌス対策を基本とする密封包装業の営業許可取得を強要するのもどうかと思いました。
しかしながら今回は、同じ営業を実施しているのに、その地の保健所では「密封包装業」、この保健所では「漬物製造業」。他の保健所の見解はこちらの保健所には関係ないという態度です。
そんなことは各自治体の保健所の見解だから、厚生労働省は知りませんというのなら、施設改装のための出費に頭を痛めている事業者のことを全く考えていない。これこそお役所仕事なのだと呆れて言葉が出ません。
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