今年の夏は記録的な暑い日が続いています。
先日コンビニおにぎりにゴキブリが混入していたという回収記事が発表されました。
今回、混入していたゴキブリがクロゴキブリかチャバネゴキブリかは発表されていません。主にチャバネゴキブリは場内発生を繰り返し、水分が豊富な場所にある、冷蔵庫などの発熱機器の付近で繁殖します。
事故が起こった食品工場は業界大手であり、管理された環境であると考えられることから、チャバネゴキブリが場内で発生していることはないでしょう。混入した昆虫はクロゴキブリではないかと思います。
通常、黒ゴキブリは屋外の下水管に生息していて、より良い生活環境や産卵場所を求めて、僅かな隙間などから屋内に侵入する外部侵入害虫です。
ゴキブリの行動可能な温度帯は大体20から30℃程度と言われ、夏の暑い日中にはよほどのことがない限り行動しません。夜になり気温が下がると、旺盛な行動力で作業場内に侵入するわけですが、この時行動した後に必ず糞を残します。
作業場内に黒胡麻のような糞を発見したら、その辺りのクラックや窓枠から侵入していると考えられます。
ゴキブリは狭い隙間などに潜む習性があります。常温の場所で袋入り食品やダンボール箱を保管する場合、ちょっとした隙間に侵入したゴキブリが潜んでいる恐れがあります。
私は以前、喫茶店で注文したケーキの底に、大きいクロゴキブリが貼り付いていて絶句した経験があります。
調理室内で常温で放置されたケーキの下に潜り込んだゴキブリが、冷蔵庫に入れられて動けなくなっていたものと考えられます。
異物混入につながるのは、生きた虫だけとは限りません。
特に出荷・納品に使用するコンテナやケースなどは、使用後常温の店舗のバックヤードなどに長時間放置されることがあります。量販店やコンビニのバックヤードはゴキブリが繁殖していることが多いため、成虫だけでなく、死骸や卵が付着して、製造工場に戻ってくることがあります。
もちろん作業場内に持ち込む前に洗浄されますが、この洗浄室の環境はゴキブリが好む湿度と栄養が豊富な場所です。
また、容器の底に乾燥した死骸や卵胞が付着している場合は、洗浄しても水圧で落としきれないことがあります。洗浄後や使用前の容器の黙示確認が不十分だと、作業場内に持ち込まれる危険があります。
乾燥した小さい死骸などは、作業現場で多用するビニール袋に静電気で付着することもありますし、床に落下したものが、靴の跳ね上げで食品に混入するケースもあります。
混入が発生した事業所では、殺虫剤の燻蒸などを行っているとのことですので、これまでゴキブリの生息が皆無というわけではないのかも知れません。工場が古くなると、ゴキブリが侵入できる壁のひび割れや、排水溝の劣化が発生しがちです。つまりは、不慮のケースを含め、夏場のゴキブリ混入対策は大変難しいものなのです。
何にしても、このような不快な異物混入を防止するためには、作業場内のゴキブリの根絶が重要です。
そのためには、場内の殺虫だけでなく、黒ゴキブリの侵入経路である建屋外周の殺虫剤散布、下水からの侵入防止対策の徹底、侵入経路の特定と塞ぎ込みが必要になります。
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