今回、金属異物混入があった給食の「フルーツ白玉」は、16校園に計1874食を提供されており、混入は2箇所で計3件確認されたということです。
発見された金属片は、最大で長さ約9ミリ、太さ0・5ミリ。果物の缶詰を機械で開封する際、できた切れ端が混入したとみられるとの発表でした。
私は過去、菓子製造業で勤めていた頃、フルーツゼリーの製造に缶詰フルーツをたくさん使用していました。
使用していた輸入フルーツや冷凍フルーツソースは、一斗缶や1号缶に入れられたものが多く、フルーツの酸に耐える為に缶内部側にはフィルムコーティングされていました。
当時、この缶の切り屑によるクレームの発生もあって、最も切屑が出ない缶詰めの開缶方法を検討していました。
多数の缶を使用する工場では、開けやすく、力の要らない方法が必要です。ロール刃、手持ち缶切り、Vカッターなどの缶切りを試した結果、当時工場ではステンレス製のVカッターを使用していました。
このカッターは、缶の天面に垂直に刺し込み、、Vの切り口を折り曲げて中身を取り出すという物です。
缶切りの検討をする中で自分としても驚いたのは、缶詰を開けるときには多かれ少なかれ、必ず缶の切り屑や、缶のコート剤の剥離片が発生すると言うことです。
もちろん缶切りの刃先が鋭く、刃の挿入角度が適切なときには、出る切り屑は少ないはずです。でも、どうしても押し切ったときにできる缶のバリ部分が、刃を抜く際に剥がれるので、微細な金属片やコート材片が出るのはしようがないことなのです。
当時は缶を開けた後に、棒マグネットで開缶部分に発生した切り屑を取ってから、中身を別容器に移して使用していました。
缶から出した中身にはマグネットで取りきれない切り屑金属片が混入していることがあります。そのため、漬け液と共にしばらく静置して金属片が沈殿した後、上部からすくい取って使い、切り屑が沈んでいる可能性がある底部分の液を使用する場合は、フィルターで濾して使用するようにマニュアル化していました。
そんな苦労をしなくても、缶の切り屑も金属だから金属探知機で反応すると思いますよね。確かにかなり大きい物なら反応するのですが、ほとんどのものが形状が細くて小さいため、金属探知機をスルーしてしまいます。
真の対策は缶をあきらめ、ビニールパウチ品を使用することですが、大容量や輸入品ともなると、包装強度の点からほとんどが缶入りになってしまいます。
缶詰の専門家の見解としては、缶を開ける時に切屑が出るのはしようがないことで、細かい切り屑は食べても体に害がないことが証明されていますとのことです。でもそんなこと、消費者には言えませんよね。
私的な当時の見解は、なるべく切屑を出さない為には、缶切りの刃は常に鋭く研いでおくこと、一気にそして垂直に缶に差し込むこと、なるべく切り口にすれないように缶切りを抜くこと。それでも出る切り屑対策として、すぐにマグネットで切り口付近を確認すること、マグネットに切屑が多く付着した場合は果実を目視で確認しながら使用すること。
そして、いつも缶の切り屑が入っていることを忘れずに、注意を払って使用すること。
どれも完璧ではありませんが、当時工場で出来得る対策はこのくらいかなと考えていました。
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