冬場は工場内の温度も下がり、虫も菌も冬眠期間に入っています。目を覚まし始めるのは3月、本格的に始動するのは5月。
もしあなたの施設が、毎年夏場に虫や菌の発生で問題を抱えているのなら、一年で最も気温の低い今、防除対策を始めるのがおすすめです。
場内発生の虫と菌に対策として今取り組んでいただきたいことは、徹底清掃とその後の日常的な清掃マニュアルづくり。場外侵入の虫に対しては外周の除草です。
その後施設内の隙間の塞ぎ込みを徹底的に行い、3月屋内発生箇所の燻煙と、5月に建屋外周の殺虫剤散布を行います。
今の時期、虫や菌は寒さに耐える形状になり、ひっそり身を潜めています。春先からそろそろ準備を始め、夏場には旺盛に繁殖できる状態になるため、夏場に問題が出てから清掃を行なっても、清掃により拡散してしまい、なかなか成果を上げることができにくくなります。
さながら、雑草が茂っている時に除草しても、地面に陽が当たり一気に新しい草が生えてくる状況と似ています。
寒い時期なら虫の卵も菌のバイオフィルムも、おとなしく洗い流れてくれるので、清掃して根本から叩くなら、冬のこの時期が好機なのです。
この時期の清掃は徹底的に行いましょう。焦げ付きや油汚れ、床隅やシンク周りのバイオフィルム。側溝やグレーチングに堆積したヘドロなどはもちろん、普段は清掃しないような機械のカバーの中や足元。高所の壁や天井、配管の上部など、虫や菌で今まで指摘されたところは特に注意してください。
カビや酵母などの落下菌による食品への汚染がある場合、床や排水溝の汚染が常態化している可能性があります。
それぞれの汚れに応じて使う薬剤や使用方法は違いますので、ヘビーな汚れについては薬剤メーカーに相談することも有効です。
徹底清掃後は日常実施する清掃をチェックリストで定め、記録をとって実施しましょう。この記録が外部監査の際にとても重要です。
製造機器や製品が通るラインなど、製品の品質に影響がある箇所は使用後清掃が必要です。また、作業場の床、排水溝など、汚れが腐敗・劣化して衛生害虫を誘引する場所は毎日清掃すべきです。
それ以外の場所は、場内発生の衛生害虫が発生する可能性がある箇所は週1回、清掃し辛い場所や、費用がかかる箇所は必要に応じて、頻度と方法を決めてチェックリストに記載しましょう。
水洗いができる機器や側溝の清掃には、以前にもご紹介したアルカリ性の泡洗浄がおすすめです。夏場、カビがつららのように発生し、腐敗臭やチャタテムシに悩まされていた充填機が、泡洗浄を始めたことで一気に改善した経験があります。
円安や値上げで厳しい状況にある今、施設・設備の衛生について取り組みを始める好機です。
工場をクリーンアップして、製品の安全安心を内外にアピールすることが、品質管理にできる最善の会社への貢献だと思います。
コメントをお書きください