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防虫対策の肝


 3年前にこちらの工場に来たときは、サニタリーの防虫業者が設置した小さな歩行虫用トラップに、クロゴキブリが18匹も折り重なって捕獲されているという状況でした。

 また、シバンムシのフェロモントラップには、カウンターを使わないと計測できないほどの捕獲があり、月に数回新しいものと交換したりしてました。

 今では、全館で今年トラップに捕獲されたゴキブリは、外部に近い倉庫のトラップに3匹。

 シバンムシの捕虫は、お盆前まではほとんど抑えられている状況でした。ただ、お盆休みの間に一つの部屋で80匹近い捕虫があり、壁下の巾木の隙間から侵入しているのが確認されたので、隙間を補修して現在は捕獲がおさまっています。

 

 3年間、いろいろ防虫対策をしてきました。私が考える防虫の肝は、侵入の防止と、繁殖場所の撲滅です。

 まず、クロゴキブリについては、以前にもお話しした通り、外部の下水マンホールからの侵入を防止することが最も重要です。

 こちらの施設では、2階のサニタリーでの捕獲がメインであったため、下水につながる部分の封水を確認し、住処になっていた設備を燻蒸殺虫し、壁に穴を開けて取り付けられていて、ゴキブリの侵入口になっていたジェットタオルを取り外しました。

 部屋の床や天井にあった隙間をパテで全て埋め、最大の進入経路であったサッシの窓枠をマスキングテープで目づめしました。

 これらの対策に加え、施設外周の殺虫剤施工を年2回、春気温が20℃を上回った時期と、梅雨明けから盆前時期に行っています。ゴキブリの動きが活発な時期に残留性の高い薬剤で建屋への侵入を防止するためのもので、施設の外壁一面に隙間なく、特に下水設備の付近は入念に、噴霧してもらっています。

 

 これらの実施で、今年はサニタリーのゴキブリを0にすることができています。

 しかしながら先日、昨年クーラーをつけた部屋で2回ゴキブリの捕獲がありました。確認するとドランホースの先が下水マンホールのそばにあり、どうもここから2階の部屋まで、ゴキブリはホースを上がってきたとしか思ません。すぐにドレンホースの先にネットをつけて、マンホールに殺虫剤を噴霧したところ、その後捕獲はされていません。

 

 防虫については、一度いなくなったら安心なのではなく、捕虫器や糞の状況を常にモニタリングすることで、異常を察知し、原因を確認して、早急に対応をとることが大切だと感じています。

 彼らは隙間があれば室内に侵入し、それぞれの好む環境で卵を産んでしまいます。それが羽化すると数が増えて、対応がますます大変なことになります。

 もし今、あなたの事業所が衛生昆虫で悩んでいるのなら、侵入の防止と、繁殖場所の撲滅について、防虫業者を巻き込んで対策を進められるようにお勧めします。