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久しぶりの店舗指導


 先日、前職を辞めてから久しぶりに、飲食店のHACCP指導のお仕事を頂きました。

 先方様は、歴史のある店舗で、地域の有名店としてメディアでも取り上げられるような、味自慢のお店です。

 HACCPにはまだ全く取り組んでおられず、「HACCPとは何ですか?」というところからのご説明でしたが、社長様や従業員の皆様が改善に対して前向きで、提供される食品にプライドを持たれているのが、とても素敵だと思いました。

 

 工程を追った現在の取り組みや、お店が現在抱えている問題を伺い、店舗の現状を見せていただいてから、具体的な進め方のお話をさせていただいたのですが、皆様に実際にやる気になって聞いていただけたことがとても嬉しかったです。

 「同業者で、まだここまでできてるところはないやろから、これをちゃんと取り組めたら、抜きん出た存在になれるね。」と社長さんがおっしゃった言葉は、私にとってのご褒美です。

 

 私がご紹介するのは、あくまでガイドライン(食品衛生法施行規則別表第17、18)に沿ったHACCP衛生管理システムの構築についてです。「HACCPの考え方を取り入れた業界団体の手引き書」については、最低限の実施事項を、どのレベルの対象者にも取り組めるようのデフォルメしてあるので、これを意義ある形で取り組むのは結構難しいのです。

 どうせ取り組むなら、本来取り組むべき内容を理解した上で、自社にできる安全管理をすすめた方が、良いシステムになるのではないかと私は思います。

 最終的に、「衛生管理計画書」、「手順書」、「実施内容を証明する記録類」があれば良いわけで、これに社員教育用のルールブックである「安全衛生マニュアル」(このホームページでもご紹介していますが、自社の取り組みを紹介するためにも使えるものです)があれば、どんな相手先にも十分理解していただけるものになります。

 

 よく、「HACCPは何かの認証を取らなくてはいけないんですか?」と聞かれます。

 社長さんや営業の方が、名刺にマークをつけたい場合は認証取得もいいと思います。でも手続きや監査の費用が結構お高いです。認証取得に通じたコンサルタントを雇うとなると数百万、その後毎年の更新時に数十万程度の経費がかかります。

 特にマークがいらなければ、保健所の監査を受けて、食品衛生監視票を交付してもらうことができます。証明手数料は地方自治体により違いますが、ほぼ500円〜1000円くらいです。

 要は、自社の安全安心について計画し、実施し、それを確認して改善している状況を、社内の全員が理解し、外部にも説明できることが大切なのです。コンサルタントに取らせてもらうなら、認証事態に大きな意味はないと私は思います。

 

 HACCP衛生管理システムを構築し、それに取り組むことは、お客さまにとっても、店にとっても良いことばかり。一つの不祥事が会社の存続に係る厳しい時代に、会社を守る鉾や剣になるものです。

 今回は、それをお伝えすることができてよかったです。神戸商工会議所さんの派遣相談員に加えていただきましたし、このホームページでも、皆様の前向きな取り組みに、エールを送れるような取り組みをしていければと思っています。