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改善の成果


 この会社では、食品衛生監視票の更新は毎年行うことになっていたようですが、2019年以来、新型コロナウイルス感染防止の観点から、外部者の来社を最小限にしたため、久しく延期になっていました。

 保健所の方でもさぞや忙しいことだろうと思っていたのですが、曰く「コロナ対応は部署違いなので…」とのことで、この有事と言える状況の中、縦割り業務の徹底さ加減を再認識しました。

 

 前回の監査は私がこの会社に来てすぐの頃で、衛生ルールの決め事やその文書化はほとんどできていませんでした。作業場内は破損箇所が目立ち、不要物や私物が置かれ、全体的に清掃が不足していて、衛生害虫の捕獲についても放置の状態が続いていたようです。

 この2年半、壁の穴を塞ぎ、清掃チェックリストで清掃箇所や清掃方法を決め、汚いところを綺麗にして回りました。

 ルールを文書化し、その際にあるべき方向に修正して、改善を進めてきた結果、外部の監査で評価を得るようになり、現場の主要な従業員の意識が変わってきました。

 防虫に関しては、ゴキブリが多数見られた箇所を、侵入経路の封鎖や、繁殖箇所の徹底清掃と殺虫で根絶したことを期に、他の内部発生害虫についても防虫会社の意見を聞いて改善対策を自主的に実施し、徐々に結果が出てきています。外部から評価されることが自信となり、製造についても改善する意欲を感じます。

 実際、このくらいの期間で改善が形になるのは、受け入れ態勢が良い会社風土であるからです。前職の菓子製造業では5年以上かかりました。

 

 保健所の方にも、前回から見違えたようですと言っていただき、縁の下でお手伝いしたものとしてはホッとしたのですが、会社の経営者方には、現実と評価にギャップがあると感じられているところもあります。

 このギャップについては、システムを運用する上で追い続けていく課題であり、これこそが改善と教育を続けていかなければならない理由なのです。人は決めた通りにはできないので、常に新しいギャップが表面化します。だからPDCAを常に回し続けなければいけない。

 むしろ、ギャップを感じられるようになったことこそ、改善の成果と言えるものだと思っています。

 

 今回も実感しましたが、このホームページでご紹介している、食品衛生法施工規則別表17、18に沿った衛生管理計画書の作成や、手作り教育資料の「安全衛生マニュアル」の作成と配布は、改善のまとめとして、また改善を内外に説明するためのツールとして、とても便利です。色々な事業所に取り組んでいただけると幸いです。