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教育用小冊子を手作りする方法


 HACCPの導入において、重要な事項については「全員に周知徹底すること…」という記載が出てきます。

 周知徹底のため、立会い教育をどんなに頻繁に頑張って実施していても、その日お休みの人や、出勤時間が外れている人、作業の手順で参加できない人などがいて、全員でルールを共有することはなかなか困難な事です。

 また、この頃はコロナ禍で集合教育はできなくなってしまい、回覧表をつけて文書を回す事が、周知徹底の手段になっています。

 そこでお勧めしたいのが、どうしても全員に理解しておいてもらわなければいけないことを、小冊子にまとめて配布する方法です。こうしておけば、いつでも手元で確認する事ができ、また、1ページずつ朝礼などで読み合わせ教育を行うこともできます。

 教育用に作成する小冊子ですが、外部監査を受けるときも、「どのような衛生管理を実施していますか…」などと雑に質問された際などに、この小冊子を見ていただくことで、一目瞭然に説明する事ができます。

 

 今お勤めしている事業所は、有機を含めた、乾燥した粉体の小分け包装の工場です。

 この会社用に作成した小冊子に掲載している内容としては、就業規則、会社の品質方針、HACCPメンバー紹介、個人衛生の出社基準、衛生申告表の記入方法、手の傷と絆創膏のルール、身だしなみルール、私物持ち込み禁止ルール、ロッカー、トイレの使い方、作業服着用手順、ローラーかけルール、手洗いマニュアル、手洗いルール、作業時の手袋、保護具のルール、労災への注意事項、異常発生報告ルール、異常の定義、掲示物の確認ルール、フードディフェンス、洗剤・薬剤保管と使用の注意点、工程での危害防止ルール、重要管理点についての対応ルール、食中毒防止の知識、食物アレルギーに対する知識、不適合品流出防止対策、アレルゲン・有機・原産地などの区分と交差汚染防止ルール、有害小動物管理の注意点、チェックリストの記入方法、などの項目を全24ページにまとめています。

 

 製本方法については色々あると思うのですが、私が手作りにこだわっているのは、小規模事業者でも手軽に取り組めるという点です。

  • 安価に簡単に作成でき、毎年更新できること
  • いつでも、少量でも印刷できること

 これを叶えるために色々考えた結果、今はPowerPointで原稿を作成し、プレビューや画像で出力して、用紙3枚に4シートづつ両面コピーして製本できるように順番や方向を決めて配置し、印刷して折り畳んで糊テープで貼り、袋部分をカットして製本しています。

 

 以前いた会社では、毎年更新して第8版までになっていました。

 前年に起きたクレーム対応ルールや、法律などの変更に関する注意事項、トレンドの感染症対策や新しい知識などを掲載して、改版を楽しみにしてくださる取引先もあったほどです。

 退職する際、これだけは継続してほしいと願ったのですが、ちょっと複雑で手間がかかり、仕上がりが稚拙なところが良くないと却下され、印刷屋さんに製本を依頼して、あれ以来改版はしていないとのことです。

 

 もし興味がおありの方は、ウェブ塾の方でも作り方をご紹介しています。また、個別にメールでお問い合わせいただければ、ご説明もさせていただけるかと思います。

 まずは、自社のルールをPowerPointでわかりやすくまとめることから、初めてみてはいかがでしょうか。