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結構ややこしい営業届出制度


 6月に入り、得意先から申請についての問い合わせが重なったもので、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」から、アカウントの登録と営業届出をしてみました。

 ですが、そのすぐ後に、管轄の保健所から電話があり、「添付書類がついていないので、受け付けられません」と言われました。この営業届出制度については、当初のアナウンスとは異なり、結構ややこしい内容になっていることがわかりました。

 

 

 システム登録時に確認した、「食品衛生申請等システム」のQ&Aには、「営業届出:特に必須とされている添付ファイルはございません。」となっていました。ですが、管轄保健所からは、次のような添付書類を求められました。

・登記簿謄本の写し(6ヶ月以内)

・所在地を示す図面、作業場全体の図面、作業場所の機器等の配置がわかる図面等

・各製造品目ごとの製造工程フロー

・食品衛生責任者の資格証明書写し

 

 これでは営業許可申請の必要書類と同じ内容です。

 本当に、届出制度の最初のアナウンスと、かなり異なったことになっています。これは単に、自治体による見解の違いなのでしょうか。

 インターネット申請の際に、添付書類を明確にしていないため、保健所ではネット申請に対する対応が重なり、てんてこまいの状態だとか。ネット申請ではなく、書類を持って保健所にきて届出してくださいと言われました。

 

 今勤務している工場は、乾燥した食品の小分けを行なっています。一部、食品添加物にあたるものも小分けしていることから、「食品添加物製造業」の営業許可を取得しています。

 この製造許可も、当初管轄保健所からの必要と言われ、社長が東京まで出向いて食品衛生管理者の講習会を受講し、水道設備の改装など、大きな負担をして取得したそうです。ですが、後に当保健所から、小分けのみの行為に許可は必要ないと言われ、今では、営業に直接関係ないものになってしまっています。

 

 今回の営業許可業種の見直しで、新たに「食品の小分け業」という営業許可ができたため、事前に保健所に相談をしていました。

  この新設された「食品の小分け業」の定義では、「専ら以下に掲げる営業において(営業許可業種において)製造された食品を小分けして容器包装に入れ、又は容器包装で包む営業をいう。」となっています。

 そこで、自社で小分けに使用する食品毎に、製造元に、その食品が営業許可の対象かどうかを確認してもらいました。

 その結果、一部の食品について、営業許可を得て製造している品目であると、製造者から回答がありました。

  これはそれぞれ製造者が、管轄保健所に問い合わせた結果の見解なのですが、当方の管轄保健所の見解としては、「これらの食品は、食品営業許可が必要な品目にあたらないので、小分け製造業は必要ありません。添加物以外の取り扱い食品については、「その他の食品製造」の食品届出の対象となります。」とのことです。

 

  保健所の担当者の方によると、許可や届け出の対象かどうかについては、自治体により判断が異なるので、個別に問い合わせてくださいとのことでした。本当に、ここまで分かりづらいと、本当に保健所に問い合わせるほかありません。

 

 今回、原材料の取引先に、届出制度で必須となった、食品衛生責任者の設置について尋ねたのですが、「不要」という回答が帰ってきたところが多くありました。

 中には「HACCPの義務化ってなんのことですか?誰がそんなこと決めたんですか?」というところもあり、食品衛生法一部改正については、情報がまだ届いていないところもあることに驚きました。

 

 この届出制度については、自治体による見解の差があるままで、実施されても良いのか疑問に感じます。

 届出を行なっても、特に届出証などの発行はなく、添付書類の整合性確認も、不備による罰則もないはずです。

 許可の場合は申請内容に変更が発生した場合、届出ないと食品衛生法違反になりますが、届出制度ではどのようなことになるのでしょうか。製造工程の変更や製造品目の変化はよくあることです。

 

 HACCPも理解が難しい小規模零細の場合、この制度を理解して書類を揃えるのは大変困難なことです。

 今のままで、全ての食品関連業種の届出が現実のものになるのか、疑問が残るところです。