私が最初に、社内の衛生ルールをまとめた小冊子を作ったのは、もう30年も前のことになります。
手洗い方法、更衣室やトイレの使い方、製造中の保護具の取り扱いなど、時々に教育していても一向に徹底できない中、ルールをまとめた冊子を作ろうと思い立ったのです。
内容は、出社してから作業につくまでの、身だしなみや禁止事項について。作業中の衛生ルールと労災対策。ゴミの出し方や異常発生時の連絡など。初めはごく簡単なものでした。もちろん手作りで、印刷して折って糊付けするだけで、さほど費用はかかりません。
従業員に配布すると、表紙に製品の写真を載せたり、イラストを配置したのが好評で、会社が大切だと思うことを従業員と共有するツールとしての有効性を感じました。
転勤した別工場でも同じように作成し、教育に使用していたところ、突然監査に訪れた保健所の担当者に、「これはいい活動ですね」と言っていただきました。
その後勤めたOEM主体の食品製造業で、会社に合わせた内容の小冊子「安全衛生マニュアル」を作ったのですが、当時の工場長に「こんなものは何の役にも立たん」と酷評されました。ですが、そんな時に不二家さんの事件が発覚し、保健所の方が監査に飛んでこられました。
「貴社ではどのような衛生管理を実施していますか。」という質問に、その冊子を見せると、「これは素晴らしい。取り組み内容がよくわかる。」と高評価をいただき、工場長もそれからは、毎年更新して分厚くなっていく「安全衛生マニュアル」を、取引先監査の際に真っ先に手渡すようになりました。毎年更新する時期に合わせて来社し、このマニュアルを楽しみにしてくださる取引先も多く、従業員の中にも、バックナンバーを全部取ってあると言ってくれる人もありました。
マニュアル作りは、用紙を1/4に折って重ねた形で冊子化できるようにページを配置して作ります。内容も一から考え、印刷から製本まで、全て手作業で作ります。組み立てるのはそれほど時間はかかりませんが、印刷会社に依頼したものと比較すると貧弱な出来上がりです。でも、必要な冊数を必要な時に準備でき、費用も安く、必要に応じて気軽に改版できるなどのメリットがあり、従業員数が少ない企業にとってはこちらの方が便利です。
新しい従業員が入るときにこれを使って就業前の教育を行い、このルールを遵守できない場合は採用しないという確認ができます。入社時には遵守する旨のサインをもらうようにしていました。
各ページは拡大印刷して、教育ポスターとして毎週行う出社時教育に使用していました。
withコロナの現在、みんなで集まって行う衛生教育は困難ですが、ポスターによる教育は有効です。
皆様のところでも、ルールの冊子化を考えられてはいかがでしょうか。教育資料としても、監査対応にも良いこと間違いなしです。
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