私たちは災害の多いこの島国に暮らし、これまで多くの大規模被害に見舞われてきました。
地震、津波、台風、大雨。災害が発生した時は、その惨状に目を奪われ、前途を絶望しかけます。そんな時、被災地以外の地域に通常の日常があるからこそ、被災した自らも前向きに少しずつできることを始め、徐々に日常を取り戻してくることができました。
今回はどこにも逃げ場はありません。たとえ感染の少ない地域に逃げたとしても、自分たちの行くところに災害がついてくるのです。そして、世界のどこもが同じ災厄に見舞われています。本当に、先の見えない状態が続いていると言えます。
この状態の中で、前を向くということはどういうことなのか。今、食品に関わる企業を存続させるために、何ができるのか考えてみたいと思います。
新型コロナウイルス感染症は、なんとか一波の感染ピークは乗り越えたものの、先行して外出制限を緩和している各国で、第二波感染への警戒が叫ばれています。
日本でも感染者数の少ない地域では、徐々に緊急事態解除に向かっていますが、百貨店や大型ショッピングモールの再開は、消費者側にも感染への恐怖心もあり、すぐに以前のような販売を取り戻すのは難しいでしょう。
一方、スーパーなどの量販店は好調です。今後更に施設における感染拡大防止施策を進めるべきではありますが、販売員との接触が少ないことが安心感となり、しばらくは量販店が主な買い物の場になるでしょう。
今後、ウイルス感染が落ち着いた地方が、店舗の営業自粛解除を進めても、以前のようにインバウンド客や観光客を受け入れることはずっと先の話になります。そのため、国内の食品企業を守るために、新しい販売手段が必要です。
今、オンライン販売が好調です。この時期最も売り上げが落ちている、観光地のお土産の製品を、オンラインで地域ごとにセットにして販売したり、商工会が中心になって、何らかの特典付きの応援企画を進めるのも一案かもしれません。これから各家庭に届けられる10万円の特別給付も追い風になる可能性があります。
確かに、その場に行ってもないのに、おみやげを売るわけにいかないという考え方もあります。しかしながら、こんな時だからこそ、行った気になり応援する機会を設けることは、地域産業を救う手立てになるのではないかと思われます。
私たちは地球規模の災害に見舞われて、収束しないままの状態で、経済活動の立て直しに迫られています。しかしながら、このウイルスは人から人に感染する機会を狙っています。対話すること、手で触れること、密集することで、感染爆発につながる危険性を、今も持ったままなのです。
小規模の対面店舗や飲食店では、これらを防ぐ対策をそれぞれの場で考え、従業員教育とともに消費者を正しく教育することも必要になります。お互いを信頼し合うことが大切です。従業員は熱を測り、体調管理をし、少しでも感染の可能性がある人は働かないルールを徹底し、同じルールを消費者にもお願いすることが必要です。その上で、唾液や手指によるウイルス感染防止対策を、従業員、顧客共々、徹底していきましょう。
一つの災害を乗り越えるには、10年スパンで考える必要があります。今回のウイルスも、よく効く薬が開発されるまでは、警戒を続けなければいけないでしょう。
今を乗り越えれば元に戻ると考えるのは、楽観しすぎかもしれません。
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