使用する包材や、品質保持材などの封入剤は、無害で、食品の安定性に影響がないものを選定しなければいけません。また、包材には、輸送中の摩擦や振動などから、製品を守る強度が必要です。これについては、梱包や運送の状態によって必要な強度が異なりますので、実際の製品で配送テストを行い、問題がないことを確認しましょう。
食品トレー及び容器・包装の材質については、ポジティブリスト制度が2018年に決まり、2020年から施行されます。これにより、安全が確認された材質しか使用できなくなります。制度の詳細については厚生労働省の「食品用器具及び容器包装の現行制度及び現状について」を確認してください。
ガスバリア性や耐熱性の包材を使用して、不活性ガスや脱酸素剤などの封入剤を使用したり、高圧高温殺菌を実施して、食品の保存期間を延長する方法がとられます。これらの包装には熱圧着による密封が必要です。この場合、わずかな包装不良やピンホールの発生が、製品の品質事故につながります。
包装不良を確認する方法として、赤い溶剤を袋の内部にスプレーして、浸み出しがないことを確認する、レッドチェックと呼ばれる方法と、水槽の中で包装を圧迫し、空気が漏れ出てこないか確認する、水没チェックの方法があります。
レッドチェックは、熱圧着部分の接着不良を検知するのに適しています。包装の圧着部分に溶剤を噴霧し、直後に溶剤がにじみ出てくる場合は、水没チェックでも確認できます。
水没チェックでは分りづらい、わずかな接着不良を検知するためには、溶剤を吹き付けた後、少なくとも24時間以上保管して観察する必要があります。その程度の接着不良であっても、酸素が透過して、カビや微生物が増殖するのです。
圧着不良が発生する原因として、設定温度の不良が考えられます。また、設定温度はインバータで管理されているため、一番低い温度の時に包装不良が発生する場合があります。
そのため、このチェックは、シール機の始動時や包材の交換時に含めて、一定の時間ごとに実施して、安定した圧着を確認することが望まれます。
水没チェックは、溶剤では分りづらい、包材表面のピンホールの確認に適しています。
テストの際には、十分製品が沈められる容量の水量が必要です。包装を水に沈めて強く握ります。小さい気泡が出てくる場合は、ピンホールを確認しましょう。
ピンホールが発生する原因は、包装機に由来するものや、包材や製品のサイズに由来するもの、包装フィルムの取り扱いに起因するものなどがあります。
私が経験した例では、梱包用のオートアームの先にささくれができていて、そのアームで挟んだ製品だけにピンホールが発生したケースがありました。包材の樹脂フィルムは、突き刺しや衝撃で簡単に穴が空きます。
フィルムの交換作業時に、フィルムのロールが重くて装着時に機械の角にぶつけてしまい、その時ついた傷がピンホールにつながったことがありました。取り扱いの際は注意が必要です。
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