新聞やテレビで大きく取り上げられることはありませんが、8月に入ってから、8件の食中毒が発生したと発表されています。
食中毒は、症状が出てから原因を追跡するのに時間がかかることから、実際に原因となる飲食があったのは7/21〜31です。
発生施設は飲食店が6件、あとは花火大会の屋台と農産物直売所です。
飲食店での事故では、6件中5件の原因食品は鶏肉、1件が牛肉です。
原因菌が特定された5件のうち、3件がカンピロバクター、2件がサルモネラでした。そして、全てのケースで共通なのが、「たたき」や「ユッケ」など、生食メニューを食べて発症しているということです。
平成23年、焼肉レストランチェーンで提供されたユッケや焼肉により、病原性大腸菌O111食中毒で5人の死者を出した事故が発生しました。
厚生労働省ではこれを期に、生食肉の製造・販売について規格基準を法制化しています。
食中毒の原因となる病原性大腸菌や、カンピロバクター、サルモネラ菌は、肉用家畜の牛、豚、鷄などの大腸に保菌されています。
生きている家畜の筋肉や血液には微生物汚染はありませんが、家畜を屠殺・処理する段階で、皮膚や大腸内容物により、と体の表面が食中毒菌による汚染を受けてしまうのです。
牛肉については肉のブロックが大きいため、肉塊表面に付着した汚染菌を適切に処理した場合、内部を生食用肉として使用できます。
しかしながら、豚肉についてはE型肝炎ウイルスの危険性を除去できないため、生食用肉の販売を禁止されています。
鶏肉には基準がありません。なので、販売されている鳥肉に「生食用」はないのです。全て「加熱用」です。
国産鶏肉のカンピロバクター保菌率は農場により異なりますが、市販の鶏肉からの検出率は80%とも言われます。
鶏肉は筋肉が小さいため、菌は筋肉の中にも侵入しており、カンピロバクターは少量の菌数で食中毒を発症することから、表面を加熱しただけの「たたき」など、十分加熱せずに鳥肉を食べることはとても危険です。
自分はお腹が強いから大丈夫と思わないでください。あなたが発症しなくても、菌はあなたの排泄物に含まれています。
そんなものがヒトに感染しないと考えるのも軽率です。あなたのお尻や服や手にわずかに付着した菌が、多くの人を発病させる力を持つことを忘れてはいけません。
この時期、品質管理担当であるあなたにお願いしたいのは、食品に携わる人が注意しなくてはいけないポイントを、従業員全員に教育することです。食中毒防止の三原則、「つけない、増やさない、やっつける」の前提条件は、「保菌しない」なのです。
【飲食店での注意事項】
- お肉は十分加熱したものを食べる
- 焼肉店では、生を扱う器具と、焼いた肉を扱う器具は区別する
- 鳥わさやたたき、ユッケなど、生肉のメニューは注文しない
- 加熱したメニューでも、内部が生焼けのものは食べない
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