7月2日に収去検査が行われた白菜キムチから腸管出血性大腸菌O26が検出され、7月7日に自主回収の命令が発表されました。
O26は、O157、O111と同じ、ベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こし、重症化しやすいグループの一つです。潜伏期間は3〜8日と言われるため、まだ予断は許しませんが、偶然収去検査が行われたのだとすると、早期に発見されて幸運だったと言えるでしょう。
O26での食中毒の発生は、2014年に北陸地域を中心に発生した、飲食チェーン店で脂肪注入牛肉の加熱不足が原因の食中毒アウトブレークが思い出されます。2013年と2015年に保育所で発生した事件がありました。いずれも死者は出ていませんが、感染性が高いため二次感染の危険が指摘されています。
2015年に寝屋川の保育所で発生したケースでは、園児159名、職員41名、家族など270名の検便検査の結果、陽性者は、園児111名で有症者59名、職員10名有症者1人、家族16名で有症者8名だったということです。このことから、特に乳児に感染しやすく、発症に至りやすいということが言えます。
また、このケースは6月から7月にかけての発症で、症状が軽微であったため食中毒に気付かず、プールやオムツ替えなどの際に感染を拡大したことも指摘されています。
青年では発症しにくい食中毒菌も、老人や子供という抵抗力が低い人たちに感染すると、発症しやすく重篤な症状に発展しかねません。
焼肉や生野菜を食べる機会が多いこの季節は、特に注意が必要です。いつも自分は健康保菌者かもしれないと思い行動しましょう。
特にお願いしたいのは、トイレに行った後は必ず石鹸で手首まで手を洗うということです。
小さい子供さんのいる家庭や老人を介護中の方、食品を扱うお仕事の方は、絶対このことを忘れないでください。
また、そのまま食べる食品を扱う際には、お箸やトング、手袋を使用するなど、できるだけ素手で扱わないことも、感染のリスクを下げる効果があります。
大腸菌は熱に弱く、きっちり加熱すると死滅します。子供は食べないから良いか…と思ってはいけません。2013年に発生した保育所の食中毒は、最初に発症した園児の親が、2週間前に焼肉に行っていたとのことでした。もちろん子供は食べていません。
どこで感染するかわからない微生物に対し、そんなことしか抗うすべが無いのは心もとないのですが、たかが手洗い、されど手洗い。
少しでもできることを進めていきましょう。
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