最近、国民生活センターから、健康食品に関する注意喚起がありました。
内容は次の通りです。
☆健康食品の摂取により、まれに薬物性肝障害を発症することがあり、重症化するケースも報告されています。多くは自身の体質によるもので、誰でも発症する可能性があります。
☆健康食品を摂取して、倦怠感、食欲不振、発熱、黄だん、発疹、吐き気・おう吐、かゆみ等の症状が続く場合は摂取をやめ、速やかに医療機関を受診しましょう。
☆受診する際は、健康食品やそのパッケージを持参し、医師へ正確に情報を伝えましょう。
☆健康食品は、あくまで補助的なものです。安易に健康食品で栄養の偏りや生活の乱れを解決しようとせず、まずは日頃の食事、運動、栄養に気を配りましょう。
動物は他の生物を食べることにより、体内で栄養素としています。しかしながら、どの生物も誰かに食べられるためだけに生存するのではなく、それぞれに自分の種を残すことを生きる目的としています。
食うか食われるかの長い進化の中で、何を食べて栄養素を得るかという選択が、種が生き残るために最も重要であったと言えます。生物の中には、絶滅しないために相手にとって有害な成分の生成能力を得たものもいれば、それを食べても大丈夫な消化機能を獲得したものいます。
人もまた、長い歴史と経験で選択された食物で栄養をとってきたのです。何を食べて良いか悪いか、どのくらい食べても大丈夫かを知るために、勇敢に挑戦し、多くの失敗や犠牲を経て今の食文化が成り立っています。
いわゆる健康食品では、その食品の成分を濃縮してカプセル化したものが出回っています。このような食べ方は、これまで人類が経験したことがないものです。短い期間で、しかも動物を使った実験で、人の安全性や効能を確認することは不可能です。「これを食べたら健康になれる」のような宣伝はどこにも根拠がありません。
今、健康食品を取っているということは、モニタリング調査に参加しているのと同じことです。これは自分だけでなく、何代にもわたり安全性の確認が必要な調査です。
中国最初の皇帝である秦の始皇帝は、不老長寿の薬と信じて水銀を飲み、50歳で死亡したと言われています。健康に暮らしていても、さらに上の健康を目指すのは人間の性でしょう。
これから訪れる食糧難の時代に向けて、健康食品で栄養を補給することの安全性を検証するために、実験台になろうという高い志がある方については止めることはできません。でも、もし今の健康を大切にしたいのなら、今まで先祖から受け継いだ食生活を、大切に継承していく道をお勧めしたいと思います。
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