大阪市の2月から4月の間の食中毒発生状況を見ると、届け出があった7件のうち、4件がカンピロバクターで、2件がノロウイルス、1件が植物毒由来でした。
厚生労働省が発表している食中毒事例(平成30年1月から4月2日までに厚生労働省に報告されているもの)でも、関西地方でみると、ノロウイルス7件に対して、カンピロバクター・ジェジュニ/コリによるものは11件です。どうも、関西ではカンピロバクターの汚染が広がっているようです。
カンピロバクターは少量の菌数でも食中毒を引き起こす感染力の強さと、ギランバレー症候群という神経系の麻痺症状を併発し死に至るケースがあることから、特に注意が必要な食中毒菌と言えます。
原因食品としては、鶏肉や臓物が挙げられ、現在では、生食用として牛レバーや鶏肉、豚肉を販売することは法律で禁止されています。
カンピロバクター菌自体は熱に弱く、通常の加熱で死んでしまいますし、酸素に触れたり、乾燥したり、冷凍されたりすると、徐々に死んで行くと言われます。
でも、カンピロバクターに汚染された食材を扱った際に、手や器具に少量残った菌による二時汚染や、加熱が足らずに生き残った菌が発症につながるので、感染の防止が非常に困難な食中毒菌なのです。
イギリスの食品基準庁が、2014年に「生の鶏肉を料理の前に洗わないように」という呼びかけを発表しました。
鶏肉は高頻度でカンピロバクターに汚染されており、鶏肉を洗うことで、洗浄水の飛沫により手や環境へのカンピロバクター汚染が起こるため、洗うのを止めることで菌の拡散を防止しようというのです。
鶏肉の処理場では、カンピロバクター対策として、次亜塩素酸Na溶液の冷水で消毒していますが、この水にカンピロバクター汚染が見られるとのことです。鶏肉を扱うときには、お肉だけでなく、パック内のドリップの捨て方や、パックなどのゴミ処理も不用意にはできませんね。
カンピロバクター食中毒を防ぐには、先ずは肉には十分火を通すこと、生肉を扱った手や器具はよく洗浄して乾燥すること、そのまま食べる食品を調理する時は、生肉と同じ容器や器具を使わないことが重要と言われます。
ここでも、最も感染につながりやすいのは、手を介した二次汚染です。
手は爪の間や毛穴など、食品残渣や菌が残りやすい構造をしていて、手洗いをしても少量の菌は残る可能性が否定できません。
調理の際、鶏肉を主とした生肉などを扱う際は、使い捨て手袋などを着用して、直接手に触れないようにすることをお勧めします。
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