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工程フローを作るとき

 コーデックスが推奨する、HACCP取り組み手順の4番目は工程フローの作成です。

 

 横軸に原材料を、縦軸に工程を入れ、原材料受け入れから製品出荷までの製造工程を書き出します。

 いつもの製造作業を表にするだけなのですが、始めてHACCPに取り組む時に最初につまずくのがこの手順です。

 

 特に、沢山の原材料や添加物を使用して、前処理や仕掛かり作業が多い製品では、全ての原材料や添加物を横軸に並べ、細かい作業手順ごとに工程を入れていくと、とてつもない大きさのフロー図が出来上がってしまいます。

 例えば、季節のお弁当など、野菜の種類や味付けごとに工程を分けていると、同じような危害分析を延々と繰り返すことになり、かえって大切な危害を見落とす原因になりかねません。

 工程フローはレシピではありません。ここで大切なのは、どこにどんな危害があるかと言う事です。

 

 危害分析の対象となる場所や、機械など、作業単位ごとに、例えば、受け入れ→保管→開梱・検品→水洗→殺菌→脱水→カット→保管→盛り付け→包装→冷蔵保管→出荷…等、整理して工程を書き出しましょう。

 原材料や添加物も、同じ処理をするものや、同じように計量するものは、加熱用野菜、生食野菜、冷凍生肉などとまとめてみましょう。少しは表が小さくなりましたか?

 

 それぞれの作業上の注意事項は「製造マニュアル」、原材料の保管温度や取り扱い方法は「原材料保管基準」を作成し、分かりやすくポイントを含めて記載しましょう。

 開封後、空気に触れる事で食品劣化が進むものは、開封後の使用期限を決めて、開封日や使用期限を明記して管理しなければいけません。使用期限の設定は、微生物検査や官能検査などで確認し、科学的根拠として検査結果を残しましょう。

 

 フロー図ができたら、これを持って実際の製造作業を確認します。見落としていた工程はありませんか?

 私は、カップ充填するデザートの送液工程で、サージタンクの配管残液を手動で充填機ホッパータンクに送る工程を見逃しました。後日、その操作ミスにより、別の充填機に配管残液が送られてしまったため、アレルゲンのコンタミを引き起こし、大きいクレーム事故が発生した経験があります。

 

 食品の再利用などの、不定期に作業が発生する箇所は、危害につながる原因となるケースが多いものです。

 メンバー全員で工程を確認して、漏れのないフローを作りましょう。