この画像は、先日図書館で借りた本、「Andrew Solway, 徳永 優子のミクロの 世界 くらしのまわりの生き物〈1〉キッチン」に掲載されていた画像の一部です。
丸太に、黄色いゼリービーンズが一杯くっついたように見えますね。これは台所の洗浄スポンジを電子顕微鏡で撮影したものです。丸太のように見えるのがスポンジ骨格で、ゼリービーンズのような細長い桿菌がびっしり付着しています。
この感じから見て、スポンジはそれほど古いものではなく、使い始めたばかりのようです。まだ、食材カスなどの付着もなく、画面上部に見えるバイオフィルムも構築途上のようです。
バイオフィルムとは、前にもお話ししましたが、微生物自身が出すネバネバ物質で築く、微生物の集合住宅の様な構造物です。写真でも分かりますが、まるで1階が駐車場になっているマンションのようです。基盤とはネバネバ物質でつながっていて、その間に微細なすき間ができています。このネバネバ状態を利用して、他の種類の菌もどんどん引っ付いてきて、それぞれがネバネバを出してすき間を作りながら自分の住みかを作るのです。
条件さえ合えばバイオフィルムはどんどん大きくなっていきます。このすき間は水分を貯めたり、空気を通したりできるので、乾燥や、殺菌剤や、多少の加熱など、物理的な攻撃にもヘッチャラな状態になってしまいます。
もし、このスポンジにひっついている菌の中に食中毒菌が含まれていたら、これで洗った器具や食器には、食中毒菌が付着してしまうかもしれません。そんな、汚染された器具や食器で扱った食品が、常温度で長く置かれると、また、その食中毒菌が抵抗力の弱い老人や子供の口に入ると、深刻な食中毒事故につながってしまう可能性もあるのです。
この危険から逃れるためにはどうすればいいでしょう。
まずスポンジですが、安いものを頻度を上げて交換しましょう。長く使っていると、ボロボロになったスポンジが異物混入に繋がるし、細菌の塊になるし、良い事がありません。そして、洗浄機があるなら、せめて、そのまま食べる食品に使用する食器や器具は、スポンジで汚れを取った後、高温に設定した洗浄機で洗浄しましょう。
洗浄後の器具や食器の水分を拭き取る時、布タオルを使うと、洗う前より汚れることがあります。
布タオルは綿繊維の構造が複雑で、微生物に汚染されやすいのです。薄汚れて匂いがする綿タオルは微生物の巣窟です。ぜひ、ペーパータオルかカウンタークロスをお使いください。
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