人気でなかなか参加できないという、検査会社主催のHACCP研修会3日コースに、参加した友人から聞いた話です。
研修の最終日に、実際にHACCPを構築するというグループワークを実施しました。友人のグループは冷凍ピラフの製造工場を想定して検討したそうです。
メンバーはそれぞれ食品の品質管理に関わっているものの、HACCPについては取り組んだ経験がない人ばかり。
そんなチームで工程フローを作って危害分析した結果、この工程ではCCPは存在せず、一般的衛生管理で充分管理できるという結論になったとのことです。
「どの危害も製品の品質に決定的な危害をもたらすものではないと言う事になったのよ…そんな場合もあるのね。」との友達の言葉に、「インストラクターさんはそれでOKだったの?」と聞いてしまいました。
重要管理点:CCPは、工程の中で抽出された危害について、決定樹を運用して確認しますが、この時、手順3の「製品を利用する対象者」を考慮することがとても重要なのです。
通常の食品は、子供であろうと老人であろうと、障害の有無に関係なく、全ての人が販売対象になります。だから、危害を抽出する場合は、何よりハイリスクな消費者について危害を考えないと、重大な事故につながる可能性があります。何故なら、食中毒にしても、異物で口内や消化器系に障害を受ける事故にしても、体力が無く、十分な判断ができない、リスクを持った人々の方が被害者になることが多いからです。
冷凍ピラフの工程でも、製造機器を使用している以上、ボルトや製造ライン由来の金属片が製品に混入する可能性が皆無とは言い切れません。「そんなものが入っていたら見えるでしょう」と思っても、老人など目が十分見えない人が食べる場合もあります。電子レンジに入れてしまってスパークから発火することもあるかもしれません。金属片の混入に対する金属探知機での確認は、CCPとして管理すべきポイントになるのではないでしょうか。
先日、冷凍ミンチカツで、O-157アウトブレーク事件がありました。生肉のO-157を制御することは非常に困難な事です。でもこの事件は、食べる前に加熱する生の食材であっても、食中毒菌の存在が重要な危害になるという教訓になったと思います。
このことからすると、冷凍ピラフも加熱工程の温度管理は重要な管理点となるでしょう。
先日行った大手チョコレート工場では、「買う気で造れ」という品質標語が語り継がれているそうです。
食べる家族のことを考える目線。危害抽出時に忘れてはいけないことだと思います
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