深夜のEテレ番組で、ある社会経済学者さんが語っていたお話です。
社会で成功した人が、「自分が人一倍努力したから成功したのだ」と主張する。そんな努力をして社会を牽引する企業は減税すべきと言う事になると、税収が減り社会保障は破綻していく。
また、成功しない人は怠けていることになり、やる気を失い更に格差社会が助長されて、いくら努力しても報われない世の中になってしまう。
一方、努力だけで成功できるかというと、そうはいかない。同じ実力レベルの競争者がひしめき合っている社会で、勝ち残るためには運が必要なのだ。
社会経済学の実験で、「自分は運で成功した」と考える人が社会貢献のため寄付する金額は、「自分の努力で成功を勝ち得た」と考える人より25%程度高いという結果がある。運が良かった事への恩返し的な意識に基づくのだという。
しかし、何事も運が左右すると考えすぎると、努力する人が減り社会は停滞する。
実際は、努力せずに運だけで成功を勝ち得ることは困難で、努力しないと運が舞い込むところまで行けない。
番組では、今までの成功は運が良かったと考え、これからの成功のために努力しようとまとめていました。
今年はHACCPの義務化が法制化される予定の年。2020年のオリンピックまでに、国際的に遜色のない食品品質管理システムを構築することが目的とされています。
しかし、食品関連企業では低賃金や長時間に及ぶ重労働など、過酷な労働条件により若い労働力離れが深刻で、特に小規模企業では、これ以上品質管理に経費はかけられないと不満が募る状況です。
一方、厚生労働省の食中毒統計では、年間約1000件の事故が発生し、毎年患者数は約2万人程度、死亡者数も数人から十数人程度で推移しており、更に食中毒として届け出られないケースもあわせると、実際の発生数はこれの100~1000倍とも言われています。
また、報告された事故でも原因が判明するケースは少なく、対策のために色々な指導が発信されますが、どれも明確な事故の減少につながっているとは言い難いのではないでしょうか。
食品関連企業の品質管理への取組は、食中毒の無い安全な社会への貢献でもあります。
HACCPシステムは費用や時間をかけなくても取り組むこともでき、むしろ作業を見直す機会として、整理整頓や適性在庫を考えることで、時短や食品ロスの減少に繋げられます。
運悪く食中毒事故が発生した場合、不運が重なると死亡事故につながる可能性があります。
今までそんな不幸に見舞われなかったのは本当に運が良かったと考え、これからの事故防止のためHACCPに取り組んでみましょう。今年はその良い機会になるはずです。
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