ーー解説ーー
8 検食の実施
イ この項目ではある程度大きい規模の給食や仕出しを行う業者を対象にしています。これ以外の施設でも、万一食中毒の発生が発生した際、患者が食べたもの全ての確認のため、保健所から提出する事が求められます。自社の責任であるかを明確にするためにも、出荷する食品の取置きは必要になります。消費期限を表示する食品は、冷凍で14日間、賞味期限を表示する食品は、食品に表示した保管方法で賞味期限又は安全係数を加味した期間、保管する事が推奨されます。
9 情報の提供
イ ここでは食品の表示について、正しい記載の確認方法を求められています。
食品表示法については頻繁に変更されていますので、現行の表示基準を確認の上一括表示を作成する事が大切です。新製品の場合は、保健所などに確認してもらうことも推奨されます。その際は、問い合わせ先や日時、担当者を控えておきましょう。
また、製造する製品に正しい表示がされているかの確認方法も、マニュアルを決めチェックする必要があります。特に生鮮や惣菜関連の企業で、ラベルの貼り間違いによるアレルギー物質の表示違いで、日々多数の回収が見られます。
製造前、製造時、出荷時点など、複数でチェックし、記録を残しておくようにする事が推奨されます。
ロ、ハ 消費者から食中毒や品質に関するクレームを受信した場合は、その処理方法をマニュアル化して、記入表などで履歴を残すようにしましょう。特に食中毒や製品による身体被害が発生した際の情報は、速やかな保健所への報告が必要になります。
事後に自社の立場が問われないためにも、クレーム情報については速やかに営業者に連絡できるよう、緊急連絡網を作成しておく事が大切です。
10 回収・廃棄
イ 自主回収については、2021年6月より食品衛生法改正による届出の義務化が始まりました。自主回収が必要な案件は消費者の安全を害するような食品及び消費者の安全のために必要な表示がなされていない食品であることには変更はありませんが、届出が増加して真に危険な回収が不明確になることを懸念し、届出対象外のケースも規定されています。
届出は厚生労働省の届出フォームに登録しておく事が求められていますが、結局届出内容を確認するのは地方自治体に任されていますので、保健所の方では直接連絡することを推奨しているようです。
とりあえず、回収に関しては法的要求事項を確認の上、回収時のマニュアルを作成しましょう
💡ポイント
自主回収届出制度施工以来、回収件数が急増している状態です。そのほとんどが表示の添付ミスや期限の誤表示によるものです。
SDGsが叫ばれ、食品ロスに対する風当たりが強い中、自主回収が増加することは時代に逆行するものといえます。
食品の自主回収を防止するためのルールづくりが大切です。